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新・布製人形の頭部(後半)

人形制作会議(第7回)

参加メンバー

6名。

1号

1号

さっそくだけど、ヘッドにワイヤー骨格を入れたことで、「シメノンドールは布製等身大人形として、もはや超完璧の域に達した!」と言っていいかもしれない!

と、個人的にはそれくらい、ワイヤー骨格を入れたことは衝撃的で、エポックメーキングなことだったのであーる!

3号

3号

それはすごい。

2号

2号

またなにか大げさな気がするけど……。

1号

1号

——という認識で今回は語っていくので、暴走したら止めてほしい。

カバーを被せた2つの人形の頭部の比較。正面と横向き

1号

1号

さて上の画像は、前回の二つのヘッドに、ヘッドカバーを被せ、それぞれ上段と下段に分けたものだ。違いがわかるだろうか?

2号

2号

下のは、後頭部が出っ張って尖ってる?

1号

1号

不正解! ま、でもちょっと関係あるかな。たまたまワイヤー骨格を調節していたときに長くなってしまったのかも。

正解は、下のは上のやつよりも人間の歯茎に当たる部分がすこしばかり前に出ている! である!

2号

2号

出っ歯みたいな? ってこと?

1号

1号

出っ歯というか、口元が前に出ているだろ。じつは今回被せている二つのヘッドカバーは、むかし作った口の切り込みが大きすぎたための、失敗作だったんだ。

しかしワイヤー骨格を入れた新ヘッドでは、歯茎の部分をU字型にして前に出すことで、そういったものでも使えるようになった。つまり、口の開きが大きめでも目立たなくなった。

——ところで! なんだかアニメキャラの横顔みたいではないだろうか? そう、本質的に、これこそが、新ヘッドの真骨頂なのである!

2号

2号

ふ〜ん。そうなの? 3号。

3号

3号

んー……、なんとも言えない。1号がそう思っているのなら、それでいいのでは?

人形の口に印のついた棒を突っ込む4号と5号

1号

1号

ちなみに、口の中の長さは、実際の人間と同じくらいで、7〜8センチくらいある。画像の棒についている赤茶の輪は10センチ単位の印。

それから、口の中の上部は、取り外し可能な舌を収納できるよう広くつくってあるので、その舌を取り除き、下から突き上げる感じにすると、かなり奥まで入る。

右の(5号の)見えている印は20センチ。

2号

2号

えっ、もしかして、下ネタ?

1号

1号

失敬な! 口へのこだわりは、両眼同様、人形制作者の永遠のテーマだった。シメノンドールではそれを克服した! ということである。

3号

3号

まあたしかに、日本人は目を見て相手の感情を読み取るけど、欧米人は口を見て読み取る、という話があるくらいだしね。口は目と同じくらい重要だということはわかるよ。

あとこれは余談だけど、心理的に日本人は目を隠したサングラスをすると怪しげに感じるように、欧米人は口を隠したマスクをすると怪しげに感じるんじゃないかな。だから欧米人は日本人ほどマスクをしたがらないのではないかと。

人形の口の中に手を突っ込む4号と5号。それを見ている1号

6号 アリス

6号

なんで口に手を入れているの?

4号

4号

痛くないか1号が確かめろって。

5号 うさぎ

5号

歯がないから痛くなかったよ。

1号

1号

うむ。歯を作ることまではさすがにできない。というか顔面が布製だから逆に硬い歯があったら不気味だ。ま、今のところは。もちろん将来的にどうなるかはわからない。

ここで二人に確かめさせたのは、布がずれてこないよう、口の中にマジックテープを仕込んだからだ。じつはこれも画期的だった。

2号

2号

いちおう聞くけど、どこが?

1号

1号

口の中にヘッドカバーの布を引き込んでいるんだけど、口元まわりを引っ張り、調節していると、これが微妙にずれて外に出てくる。

そのために重し代わりの舌を作って奥に押し込み、出てこないようにもしていたが、そんなことをしなくてもすむようになった。

まあ一言でいうと、調節が楽になった。

3号

3号

マジックテープってフック(凸)の面が、布を傷めないかな?

1号

1号

いや、それが、「フリーマジック」という両面がフックとループ一体になっている、本物の高級「マジックテープ」を使うことにしたんだ。

これがどれだけ高級かというと、安いやつ、「面ファスナー」と呼ばれているやつより、じつに10倍もの値段。でもこれを使えば、布を傷めないし、触っても痛くない。

シャーペンを咥える4号。うまい棒を口にする5号。台の上を二つの人形の頭部を押し出す1号

6号 アリス

6号

あ、袋のままうまい棒を咥えてる。

1号

1号

うむ。すでに新ヘッド仕様のわれわれも、シャープペンを咥えたり、うまい棒を咥えたりすることができるということだ。

しかし、ヘッドカバーの口の切り込みが小さいため、十分ではない。

2号

2号

ちゃんとした調整もまだなんでしょ?

1号

1号

うん。それは撮影のたびにちょっとずつやっていこうと思ってる。が、やはり根本的に、新しいヘッドカバーに作り直さないといけないだろう。

まとめ

ワイヤー骨格とマジックテープ(フリーマジック)を使用することによって、ここに(設計としての)シメノンドールのヘッドは、完成した。

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