人形制作会議(第4回)
参加メンバー
6名。
1号
それでは頭部制作時のようすを見せよう。
2号
ちゃんと作ってるんだ。
3号
今回はライブ形式じゃないんだね。
5号 うさぎ
あっ私、ここではしゃべっちゃいけないの?
1号
いや、それはべつにかまわない。
6号 アリス
じゃ役割分担とか、意味ないんじゃ?
1号
まあまあそのへんは臨機応変に。じゃあ2枚目。
1号
まず1枚目の画像でやっていたのは、型紙のトレースだ。薄型のトレース台を使って下から光をあて、布にトレースする。で、2枚目のこれは、トレースしたものを布から切り出して、この布きれから、さあ召喚させるぞ、構えているところだな。
2号
トレースとか、一般的じゃないんじゃない?
1号
うん。たぶん、普通じゃない。何度も型紙を修正しているうちに、しぜんとこうなった。
最初は型紙を画用紙で作り、修正のたびに切り貼りしていたんだけど、その手間が面倒くさいしスマートじゃないので、紙に書いた(もしくは印刷した)型紙の線を、布にちょくせつトレースするようになったんだ。
6号 アリス
うさぎちゃん、寝てるだけ?
5号 うさぎ
まあね、ひとりで1号がやってるからね。
1号
シメノンドールは基本的に、ミシンで縫うことで、完結する。手縫いなんて、面倒なことはやってられない。
3号
その「面倒なことはやりたくない」っていう1号の性格が、その方法を編み出したんだね?
1号
うん。タオル人形をつくったとき、中の綿を出したり入れたりするのが面倒でファスナーにしたんだ。
最初は手縫いする箇所をつくってそこから出し入れするようにしてたんだけど、何度も作り直しやらなんやらしているうちに、そうなった。
あ、そういえば、ファスナーにする前には、マジックテープにしたりしてたな。綿が張り付くので使えなかったけど。
2号
ファスナーも綿が挟まったりしない?
1号
あ、するね。そこは気をつけてもらわないと。いちおうファスナーの下には布がくるようにしてあるけど、綿が挟まったまま強引にファスナーを上げると壊れるかもしれないから、もし挟まった場合はちゃんと取ってから開け閉めしてもらいたい。
3号
注意書きとして、どこかにまとめて書いておいたほうがいいね。
5号 うさぎ
——あ、見て。私の出番。私がひとりで綿を入れたんだよ。
1号
簡単そうに見えて、じつはこの綿の詰め方がけっこう重要だ。顔の形はもとより体全体も、型紙で調整するより、綿の詰め方によってだいぶ印象が変わってくる。大げさだけど、綿詰め職人がいてもいいくらいだ。
3号
だったらそこに個性が出るのでは?
1号
うん。それについてはまた別のところで語ろう。では前半はここまで。次回、後半。
まとめ
布製ヘッドは綿の詰め方によって仕上がり具合が変わってくる。